この記事のポイント
- 応急手当の授業は、実習の前に「なぜやるのか」を1時間とる価値がある
- 入口は「目の前で友だちが倒れたら、最初に何をする?」
- 板書は3列。まず何をするか・なぜ早いほうがいいか・自分ができること
🌀手順だけ教えて、固まった生徒
応急手当の最初の授業で、僕は手順から入った。
止血の仕方、やけどの処置、骨折の疑いがあるときの対応。
順番に説明して、黒板に手順を並べた。情報としては正確だったと思う。
でもそのあと、「じゃあ目の前で友だちが倒れたらどうする?」と聞いたら、教室が静かになった。
手順を知っているのに、動けないという顔をしていた。
知識があっても、最初の一歩が踏み出せない。
これがこの単元の本当の壁だと気づいた。
理由はあとから分かった。
手順を先に教えると、生徒は「正しくできるかどうか」を心配しはじめる。
間違えたら悪化させるかもしれない、と。だから動けなくなる。
いまは順番を逆にしている。
手順より先に、なぜ早いほうがいいのかを扱う。
50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。手元に書かせる
- 展開① 15分 ── 応急手当がなぜ必要か、時間と回復の関係を押さえる
- 展開② 20分 ── 「自分が今できること」を班で具体化する
- まとめ 10分 ── 自分にできる最初の一歩を1文書かせる
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、傷害の際には、その場に応じた適切な手当が必要であり、速やかな手当により傷害の悪化を防止できることを理解できるようにすることが位置づけられている。
つまり、速やかであることの意味がこの単元の中心だと読める。
手技の正確さは次の時間(実習)で扱えばいい。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。どれか1つでいい。
- 「目の前で友だちが倒れたら、最初に何をする?」
一番使いやすい。手技を知らなくても答えられる。
「人を呼ぶ」が出てくれば、それがこの単元の答えの半分だ。 - 「救急車って、呼んでから何分くらいで来ると思う?」
時間の感覚を揺さぶる型。
待っている間に何ができるか、という話につながる。 - 「何もしないのと、間違ったことをするの、どっちがこわい?」
生徒が本当に止まっている理由に正面から触れる発問。
答えを急がせず、不安を言葉にさせるのが目的になる。
板書は3列で組む
黒板を縦に3つに割る。
- 左:まず何をするか ── 周囲の安全/人を呼ぶ/119番
- 中央:なぜ早いほうがいいか ── 時間と悪化の関係
- 右:自分ができること ── 呼ぶ・伝える・待つ間にできること
左から右へ、行動の順番から、その理由、そして自分の役割へ動いていく。
この単元では「自分ができること」の幅を広く取るのが大事だと思っている。
手当そのものができなくても、人を呼ぶ、場所を正確に伝える、人を集める。
全部が応急手当の一部だと示すと、生徒の顔が変わる。
「できない」と言う生徒が出たときの2手目
「自分には無理」「こわい」という反応は必ず出る。
これを無理に乗り越えさせようとしないほうがいい。
そういうときは、役割を分けて示す方法もある。
「手当をする人だけが助けてるわけじゃない。呼ぶ人も、場所を伝える人も、全員必要なんよね。」
班の話し合いが止まった場合は、場面を具体にする。
「体育館で倒れた」「廊下で倒れた」と場所を決めると、急に意見が出はじめる。
抽象的な「もしも」より、知っている場所のほうが考えやすい。
それでも特定の生徒だけが話す班が出たら、問いかけ方を変える方法もある。
この手は別の記事に書いた。
→ 【保健授業のコツ】「発表して」を「教えて」に変えるだけ
評価は「自分の役割を書けているか」で見る
まとめの1文を回収して、自分の行動が具体で書けているかを見る。
- 「応急手当は大事だと分かった」→ 感想で止まっている
- 「早くやるほど悪化を防げる」→ 中央が入っている
- 「自分は手当ができなくても、先生を呼びに走れる」→ 右列まで届いている
3つ目が出たら、この単元は成立している。
手技ができるかどうかは、次の実習で見ればいい。
<手順より先に、これを置く>
■準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
■時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■最初のひと言:「目の前で友だちが倒れたら、最初に何をする?」
■うまくいかないとき:班が止まったら「体育館で倒れたら?」と場所を決めて具体にする
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中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧

