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役割カードで反活動の「いつもの偏り」を崩す 記事のサムネイル

保健の授業のグループワーク、役割カードで発言の偏りをなくす

保健の授業、「話す係」と「聞く係」を固定していないだろうか。

班活動をするとき、気づけばいつも同じ生徒が話す係になっていて、別の生徒はいつも聞く係。そんな固定化に心当たりはないだろうか。今回は、その固定化を崩すための、役割カードという小さな工夫を紹介したい。特別な準備がなくても、今日からすぐに試せる内容だ。

役割が固定化してしまう理由

班活動を繰り返していると、自然と役割が決まってしまう。話すのが得意な生徒はいつも発表役になり、苦手な生徒はいつも聞き役に回る。これ自体は悪いことではないが、続けていると次のような偏りが生まれてくる。

  • 発表が得意な生徒は、毎回同じような立場でしか授業に参加できない
  • 聞き役に回りがちな生徒は、自分の考えを言葉にする機会がなかなか回ってこない
  • 教師も「あの子はいつも聞く側」と無意識に決めつけてしまう

僕自身、ある年に班の様子を記録してみたところ、4人班のうち発言していたのはほぼ2人だけ、という班がいくつもあった。この結果を見て、役割を意識的に動かす必要があると感じた。

この記録は、ただ観察しているだけでは気づけなかったことだった。「なんとなく良い雰囲気で話し合えている」と感じていた班でも、実際に誰が何回発言したかを数えてみると、思っていた以上に偏りがあった。感覚だけに頼らず、一度立ち止まって確認してみる価値はあると思う。

同僚にこの話をしたところ、「うちのクラスも同じ傾向があるかもしれない」と、その日のうちに自分の班の様子を数えてみた人がいた。数字にしてみると、思っていた以上の偏りに気づく先生は多いのかもしれない。

役割カードという工夫

そこで取り入れているのが、班に配る「役割カード」だ。4人班なら、次の4つの役割を書いたカードを用意する。

  1. 進行役:話し合いの流れを仕切る
  2. 記録役:出た意見をメモする
  3. 発表役:全体に班の意見を伝える
  4. 質問役:仲間の意見に「なぜ?」と問いを重ねる

授業のたびに、カードをシャッフルして配る。これだけで、毎回誰かが違う役割を担うことになる。

役割カードを使うと何が変わるか

一番の変化は、「発表役」以外の生徒にも、はっきりした役割ができることだ。今まで「なんとなく聞いている」だけだった生徒が、「質問役だから、何か聞かなきゃ」という意識を持つようになる。

数字で見ても違いは表れていて、この形式に変えてから、班活動の振り返りシートに「自分の意見を言えた」と回答する生徒の割合が、以前は6割前後だったのが、9割近くまで上がった。役割という後ろ盾があるだけで、発言のハードルはこれほど下がるのだと感じている。

数字だけでなく、記述の内容にも変化があった。以前は「班のみんなで話し合った」という一言で終わっていた振り返りが、「自分は質問役だったので、〇〇さんの意見をもっと聞き出せた」というように、自分の役割を主語にした具体的な記述に変わってきている。

実際に導入した最初の週、いつもは聞き役だった生徒が、質問役に当たったことで「それってどうして?」と自分から声を出した場面があった。小さな一言だったが、その生徒にとっては大きな一歩だったはずだ。

同じような変化は、進行役に当たった生徒にも見られた。普段は誰かについていくタイプの生徒が、進行役になったことで「じゃあ、次はどう思う?」と自分から仲間に話を振る場面があった。役割が変わるだけで、生徒が見せる顔も変わるのだと実感した。

運用のコツ

  • カードは班の数×4枚を作っておき、繰り返し使う(ラミネート加工すると長持ちする)
  • 最初は役割の説明を丁寧にする。特に「質問役」は何をすればいいか分かりにくいので、例を1つ示しておくとスムーズ
  • 慣れてきたら、生徒同士でカードを交換させて、教師が配る手間を減らす

さらに慣れてきたら、5人班用に「サポート役」を追加するなど、班の人数に合わせてカードの種類を調整することもできる。基本の4役から始めて、クラスの実態に合わせて少しずつアレンジしていくのがおすすめだ。

学期の早い時期でクラスの人間関係がまだ固まっていないときこそ、役割カードは特に効果を発揮する。役割という共通のルールがあることで、生徒同士が誰と組んでも一定の安心感を持って話し合いに参加できるからだ。

発表が苦手な生徒への配慮も

「発表役に当たったら困る」と不安に思う生徒もいる。その場合は、発表の内容を記録役が一緒に確認してから話す、というルールにしておくと安心感が生まれる。役割は固定ではなく、支え合いながらこなすものだという空気を作ることが大切だ。

質問役についても同じことが言える。「なぜ?」と問いを重ねるのが苦手な生徒には、質問の例文をいくつかカードの裏に書いておくと、安心して取り組める。「それはどうして?」「もう少し詳しく教えて」など、シンプルな型を用意しておくだけで十分だ。

進行役についても同様に、「次はどう思う?」「みんなの意見をまとめると」といった、進行の型を数パターン示しておくと、初めて進行役になる生徒でも迷わず取り組める。

最後に

役割カードは、特別な準備がいらない小さな工夫だ。それでも、教室の中の「いつも同じ立ち位置」を少しずつ崩してくれる。次の班活動から、ぜひ試してみてほしい。

保健の授業に限らず、班活動を伴う授業全般で使える工夫でもある。役割を固定させないという発想は、教科を問わず応用できると思う。

役割カードに書く「問いかけ係」の一言は、保健授業の発問メーカーで単元を選んで作ると早い。
ほかの無料教材はダウンロード教材一覧にまとめてあるので、使えそうなものがあれば持っていってほしい。

役割カードを使い始めてから、班活動の時間が来ると「今日は何の役かな」と、少し楽しみにしている様子の生徒も見かけるようになった。小さな仕掛けが、班活動そのものへの向き合い方を変えてくれることもあるのだと感じている。


試してみましたか?

班で理由を考えさせる単元だと、役割を決めておくかどうかで差が出る。
薬物乱用の授業で書いてみました。

薬物乱用と健康の指導案|中学2年保健、薬物乱用防止の授業

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