保健の説明が長引いて、生徒が考える時間がほとんど残らなかった。そんな授業、心当たりがないだろうか。
正直に言うと、これは僕自身がよくやっていた失敗だ。体育の授業準備に時間をかけすぎて、保健の準備が後回しになる。結果、保健の時間は「教科書の内容をとりあえず全部説明する」だけの授業になり、生徒がじっくり考える時間を奪ってしまっていた。
今日のポイントはこの3つだ。
- 50分を「説明20分・発問と話し合い15分・振り返り15分」に区切る
- 説明は「一番伝えたい問い」以外を思い切って削る
- 準備が足りない週ほど、この型に頼ると崩れない
なぜ保健の準備は後回しになりやすいのか
体育は、器具の準備、コートづくり、安全確認と、体を動かす分だけ準備に手間がかかる。だから、限られた時間の中で優先順位をつけると、どうしても保健は後回しになりやすい。
僕の場合、「保健は教科書を見ながらでもなんとかなる」と思っていた部分があった。でも実際は、教科書の内容を「そのまま説明するだけ」の授業になっていて、生徒からすると聞いているだけの50分になってしまっていた。
説明の時間を、半分に区切ってみる
そこで試したのが、1時間の授業の中で「説明する時間」と「考える時間」を、あらかじめ半分ずつに区切っておくというやり方だ。
具体的には、50分をこう分けて、タイマーで時間を管理する。
- 説明:20分
- 発問と話し合い:15分
- 振り返り:15分
説明が長引きそうになっても、タイマーが鳴ったら次に進む。この仕組みを作っておくだけで、説明に時間を使いすぎることがぐっと減った。
「説明が丁寧=良い授業」だと思い込んでいた
正直に言うと、この失敗に気づくまで、けっこう時間がかかった。説明を丁寧にすればするほど、生徒の理解も深まるはずだと、根拠もなく思い込んでいた時期がある。
でも、机間巡視をしていると、説明が長い日ほど、途中で集中が切れてノートに落書きを始める生徒が増えることに気づいた。丁寧な説明は、必ずしも生徒にとって「分かりやすい説明」とイコールじゃないんだと、そのとき初めて実感した。
準備は「削る」ところから始める
説明を15分に収めるために、まずやったのは、教科書の内容を全部説明しようとするのをやめることだった。単元の中で一番伝えたいポイントを1つか2つに絞って、それ以外は生徒が資料を読めば分かる部分として説明を省く。
これは最初、抵抗があった。「全部ちゃんと説明しないと」という気持ちがあったからだ。でも、実際にやってみると、説明を削った分、発問や話し合いに使える時間が増えて、生徒の理解はむしろ深くなった手応えがあった。
何を削って、何を残すか
削るときの基準として、僕は「この単元で生徒に一番持ち帰ってほしい問い」以外を削るようにしている。たとえば生活習慣病の単元なら、病名や数値を細かく説明することより、「大人になった自分を想像できたか」という問いの方を優先する。
逆に言うと、細かい知識は資料やワークシートに載せておいて、授業内で口頭説明しなくても、必要なときに生徒が自分で読み返せるようにしておく。授業は「説明する場」から、「一番大事な問いに向き合う場」に位置づけを変えるイメージだ。
まぁ、最初のうちは「これも説明しておいた方がいいかな」と、つい欲張ってしまうこともある。そういうときは、タイマーが鳴った時点で潔く切り上げるようにしている。中途半端に残すくらいなら、次の授業で改めて触れた方がいいと割り切っている。
体育の準備との兼ね合い
体育の準備に時間がかかる週こそ、保健の準備は「削る」ことを前提に組み立てるようにしている。新しく資料を作る余裕がない週は、去年使ったスライドをそのまま使い、説明部分を思い切って削って、発問だけ新しく考える。
このやり方に変えてから、「今週は体育の準備で手一杯だから、保健は適当でいいや」という状態が減った。準備の負担を減らしながら、授業の質を落とさない方法として、今も続けている工夫だ。
同僚と教材を共有するようになった
削って組み立てる授業に変えてから、もう一つ良かったことがある。授業案がシンプルになった分、同僚に「今週の保健、こんな組み立てでやってるよ」と共有しやすくなった。
以前は、自分の中で説明の流れが複雑になっていて、人に説明するのも一苦労だった。でも、「説明15分・発問15分・振り返り15分」という型があると、同僚も「じゃあうちのクラスでも試してみる」と、すぐに真似しやすくなる。準備の負担を、学年全体で分け合えるようになった感覚がある。
タイマーを使う、もう一つの効果
タイマーを使うようになってから、生徒の側にも変化があった。「あと何分で発問の時間になる」というリズムが分かるようになると、説明を聞く姿勢が少し変わる。だらだら聞くのではなく、「このあと自分の考えを聞かれる」という前提で説明を聞くようになった印象がある。
時間配分を区切るようになってからは、その割合が1割以下まで減った実感がある。
体育の準備で忙しい時期は、正直これからもなくならないと思う。だからこそ、保健の授業は「忙しくても崩れない型」を持っておくことが大事なんじゃないかと、最近はそう考えるようになった。完璧な授業を毎回目指すより、最低限このリズムさえ守れば大丈夫、という型があるだけで、気持ちの余裕がだいぶ違う。
説明を15分に収めるところで悩む方には、「導入5分テンプレート」20選が使いやすいと思う。導入の入り方があらかじめ決まっているだけで、削る作業がぐっとラクになる。
→ https://hoketto.jp/donyu-5hun/
他の無料教材も、ダウンロード無料の教材のページにまとめてあるので、気になる方はのぞいてみてほしい。
→ https://hoketto.jp/all-kyouzai/
時間を削る工夫という意味では、以前書いた「保健のワークシート、配った直後にしている3分習慣」というコラムも、あわせて読んでもらえるとうれしい。
→ https://hoketto.jp/column3/
体育の準備で手一杯の週こそ、保健の授業は「削って」組み立ててみてほしい。全部を丁寧に説明しようとしなくていい。まずは、50分をタイマーで3つに区切るところから、試してみてほしい。
道具は、スマホのタイマー機能だけで十分だ。特別な準備は何もいらない。次の保健の授業、まずは1回だけでいいから、説明の時間に制限をかけてみてほしい。それだけで、教室の空気は変わっていく。


