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飲酒を勧められたときの断り方、3つのロールプレイ

飲酒を勧められたときの断り方、3つのロールプレイ

「お酒くらい一口ならいいでしょ」、こう誘われたとき、生徒はとっさに何て答えられるだろうか。頭では分かっていても、いざその場に立たされると、言葉に詰まってしまう生徒は少なくないと思う。

飲酒の害について、知識としては教えられる。データも根拠もそろっている。でも、いざその場面に立たされたとき、言葉が出てくるかどうかは、また別の話だ。知識と、その場でのとっさの一言との間には、けっこう大きな距離がある。

今日のポイントはこの3つだ。

  • 断り方を「声に出す」練習まで一緒にやる
  • 断り方は3つの型から選べるようにする
  • 全体5分で成立する、準備がほぼいらない工夫

「分かってるけど言えない」を埋める

以前の僕は、飲酒の害を説明したあと、「だから誘われても断ろうね」と言葉で伝えるだけで終わっていた。でも、これだと生徒の中には「分かってはいるけど、いざとなったら流されてしまいそう」という不安が残ったままになる。

そこで取り入れたのが、断り方を実際に声に出して練習する、ミニロールプレイだ。誘う役と断る役を交代しながら、実際に言葉を口に出す時間を作る。

3つの断り方パターンを練習する

いきなり自由に断らせようとすると、何も出てこない生徒も多い。そこで、最初は3つの型を紹介してから練習に入るようにしている。

  • 理由をはっきり言う型:「未成年だから飲めない」とストレートに伝える言い方
  • 体調のせいにする型:「今日ちょっと調子悪くて」のように、角を立てずにかわす言い方
  • その場を離れる型:「ちょっとトイレ行ってくる」のように、言葉ではなく行動で距離を取る言い方

正解を1つに絞らず、「その場に合わせて選べればいい」と伝えると、生徒は気が楽になるようで、練習にも前向きに取り組んでくれる。「絶対にこう言わなきゃ」というプレッシャーをなくすことが、練習を続けてもらうコツだと感じている。

ペアで実際に声に出してみる

3つの型を紹介したあと、隣同士のペアで、誘う役・断る役を交代しながら実際に声に出して練習させる。台本もセリフも自由でいい。ただ、実際に声に出すことだけは必須にしている。

最初は照れくさそうにしている生徒が多いけど、2回、3回と役を交代するうちに、だんだん自然な言い方になっていく。中には、練習しているうちに「これ、友達同士のノリで言われたら意外と断りにくいかも」と気づく生徒もいて、その気づき自体が、この単元の大事なねらいの一つだと思っている。

最初にやったときの失敗

正直、初めてこのロールプレイをやったときは、誘う役の生徒が変に凝った誘い文句を考え出して、教室がざわついて収拾がつかなくなったことがある。「せっかくならリアルにやろう」という空気になりすぎて、断る練習より、誘う演技の方が盛り上がってしまった。

それ以降は、誘う役のセリフも「一口だけならいいでしょ」「みんな飲んでるよ」のように、こちらで数パターン用意しておくようにした。誘う側の自由度を減らした分、断る練習に集中できるようになった。台本を全部生徒任せにしないというのが、地味だけど大事なポイントだと気づいた。

やってみて感じた変化

言葉で「断ろうね」と伝えるだけの授業だったころは、振り返りシートに「断る」とだけ書く生徒がほとんどだった。
ロールプレイを取り入れてからは、「体調のせいにする言い方なら使えそう」のように、自分に合った具体的な方法まで書けるようになった生徒が増えた印象がある。

知識として知っていることと、実際に使える形で持っていることは、似ているようでかなり違う。
声に出す練習を挟むだけで、その距離がぐっと縮まる感覚がある。

大人になってからも使える練習

このロールプレイで練習しているのは、実は飲酒の場面だけに限った話じゃない。
「誘われて断りにくい」という状況そのものへの対処法として、大人になってからもそのまま使える力だ。

そのことを生徒に伝えると、「じゃあこれ、他の場面でも使えるってこと?」と気づく生徒が出てくる。
飲酒という一つのテーマを入り口にしながら、断るという行為そのものへの抵抗感を減らせるのが、このロールプレイのもう一つの狙いだと思っている。

照れる生徒への声かけ

ロールプレイに抵抗がある生徒も、もちろんいる。
そういう生徒には、無理にセリフを完成させようとせず、「一言だけでいいよ」と声をかけている。
「無理」の一言だけでも、声に出す経験としては十分だ。

完璧な断り方を目指す必要はない。
とっさのときに、何かしら言葉が出てくる状態を作ることが目的なので、ハードルはできるだけ低く設定するようにしている。
うまく言えなくても、口を動かしたこと自体を認めてあげると、次の練習にも前向きになれる生徒が多い。

時間がなくても、5分あればできる

「ロールプレイなんて、時間がかかって無理」と思う先生もいるかもしれない。
でも、今回紹介した形は、ペアで交代しながら1人30秒ずつ話すだけなので、全体で5分もあれば十分に成立する。

飲酒の単元の最後、まとめの時間の前にこの5分を差し込むだけでいい。
新しい教材を作る必要もなく、今日紹介した3つの型さえ黒板に書いておけば、すぐに始められる。
準備の負担が少ない割に、生徒の反応の変化は大きいと感じている工夫の一つだ。

とっさの一言が出てこないという意味では、生徒からの想定外の質問も同じだ。

「困った質問」切り返しフレーズ集には、その場で使える言い回しをまとめてあるので、あわせて見てもらえるとうれしい。
→ https://hoketto.jp/kirikaeshi-phrase/

この断り方の練習は、喫煙の単元でもそのまま使える。
勧められる場面の作り方だけ変えればいい。
→ 飲酒と健康の指導案|中学2年保健の発問例と板書の組み立て
→ 喫煙と健康の指導案|中学2年保健の導入発問と50分の流れ

声に出すハードルを下げる工夫については、以前書いた「『発表して』を『教えて』に変えるだけ」というコラムでも詳しく紹介している。
→ https://hoketto.jp/column4/

知識を教えるだけで終わらせず、実際に声に出す練習まで一緒にやってみてほしい。
次にこの単元を扱うとき、5分だけでいいので、隣の人と断り方を声に出す時間を作ってみてほしい。

言葉にする練習をしておいた生徒と、していない生徒とでは、いざという場面での踏ん張りが変わってくると、僕は感じている。
5分の練習が、何年か先の生徒を守ることにつながるかもしれない。
そう思うと、この5分はやっぱり削れないなと感じている。

こちらも試してみてください

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