ホーム > 飲酒と健康の指導案|中学2年保健の発問例と板書の組み立て
PAGE

飲酒と健康の指導案|中学2年保健の発問例と板書の組み立て

この記事のポイント

  • アルコールの害を並べても、生徒には「大人がやってること」にしか見えない
  • 入口は「なんで20歳からなんだろう」。法律ではなく体の話に着地させる
  • 板書は3列。体に起きること・なぜ20歳か・誘われたときどうするか

💭「体に悪い」の一言で、生徒が黙った日

飲酒の授業をやったとき、開口一番で「お酒って体にいいと思う? 悪いと思う?」と聞いたことがある。

全員が「悪い」に手を挙げた。そこで話が終わってしまった。

しかも、そのあとがよくなかった。アルコールの分解の話を続けていたら、教室の後ろのほうで下を向いている生徒がいた。あとで気づいたけど、家で飲む人がいる家庭の生徒だった。

この単元がやりにくいのは、内容が難しいからじゃない。
生徒がもう結論を知っていて、しかも家庭の事情に触れやすいからだ。
だから入口の置き方を間違えると、正解を確認するだけの50分になるか、誰かを責める空気になるかのどちらかになる。

そこで、入口を「良い悪い」から「なんで20歳からなんだろう」に変えた。

50分をこう配る

  • 導入 5分 ── 発問1つ。挙手ではなく手元に書かせる
  • 展開① 15分 ── アルコールが体の中で何をするかを押さえる
  • 展開② 20分 ── 「なぜ20歳からなのか」を班で考える
  • まとめ 10分 ── 自分の言葉で1文書かせて回収する

展開②を長めに取るのがこの単元の肝になる。
分解の仕組み(展開①)は知識として短く済ませて、理由を考える時間を厚くしたほうが、まとめの一文が変わってくる。

学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、飲酒については心身に様々な影響を与え、健康を損なう原因となることを理解できるようにすることが位置づけられている。
加えて、防止には個人の心理状態や人間関係、社会環境が影響することにも触れる内容になっている。
つまり物質の話だけで終わらせないのが、この単元の設計意図だと読める。

導入で使える発問3つ

そのまま言える形で書く。どれか1つでいい。

  1. 「なんで、お酒って20歳からなんだろう。18歳じゃダメなのかな」
    一番使いやすい。法律を知っている生徒ほど「なんでだろう」に引っかかる。
    答えが体の発達の話に着地するので、展開①にそのままつながる。
  2. 「同じ量を飲んでも、すぐ赤くなる人とならない人がいるのは何が違うんだろう」
    体質の違いから分解の仕組みに入る型。
    理科とつながるので、科学的に説明したいときに向いている。
  3. 「『ちょっとだけなら』って言われたとき、断るのと断らないの、どっちが難しい?」
    行動を問う発問。人間関係の話に踏み込みたいときに使う。
    ただし重くなりやすいので、クラスの関係ができているときに限る方法もある。

板書は3列で組む

黒板を縦に3つに割る。

  • 左:体に何が起きるか ── 分解/肝臓/脳のはたらき
  • 中央:なぜ20歳からか ── 発達の途中だから影響が大きい
  • 右:誘われたときどうするか ── 断り方・その場を離れる

左から右へ、体の話から人の話へ動いていく。

右列が今日のゴールになる。左と中央で止めると、知識を確認しただけの授業になる。
右に具体的な行動が並んだ時点で、この50分は成立している。

右の列の「断り方」を練習まで持っていきたいなら、ロールプレイの進め方を別にまとめてある。
→ 飲酒を勧められたときの断り方、3つのロールプレイ

家庭の話に触れそうなときの2手目

この単元で一番起きやすいのは、生徒が黙ることだ。家で飲む人がいる生徒は、必ずいる。

だから展開②に入る前に、教師から先に枠を示しておく方法もある。

「今日は、お酒を飲む人を責める時間じゃない。
体の中で何が起きているのかを知って、自分がどうするかを考える時間ね」

それでも空気が重くなったら、話を人から物質に戻す。
「アルコールって、体の中でどこが処理してるんだったっけ」。具体の話に戻すと、生徒の口は動き出す。

喫煙の単元でも同じ構造が起きる。そちらの2手目も、あわせて読んでもらえるとうれしい。
→ 喫煙と健康の指導案|中学2年保健の導入発問と50分の流れ

評価は「理由が自分の言葉か」で見る

まとめの1文を回収して、20歳という線を自分の言葉で説明できているかを見る。

  • 「お酒は体に悪いから飲まない」→ 授業前と同じ。まだ届いていない
  • 「体がまだできてる途中だから影響が大きい」→ 展開①が入っている
  • 「断るのが難しい場面があると分かったので、言い方を決めておきたい」→ 右列まで届いている

○×では見ない。
授業で出た言葉が本人の文に入っているかだけで、十分に判定できる。

<持ち物と、最初のひと言>
■準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
■時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■最初のひと言:「なんで、お酒って20歳からなんだろう。18歳じゃダメなのかな」
■うまくいかないとき:黙る班が出たら「アルコールは体のどこが処理してる?」と物質の話に戻す

🔖発問が出てこない日に

導入の一言が浮かばない日は、正直ある。僕もある。

学年と単元を選ぶだけで発問を4パターン出せるツールを置いてあるので、よかったら。
→ トワせんせいの発問メーカー

無料で取れる教材も置いてある。
「困った質問 切り返しフレーズ集」は、家で飲んでる人の話が出たときの保険になる。
→ ダウンロード無料の教材

中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧

トワせんせい
ABOUT

トワせんせい

公立中学校保健体育教員/生徒指導主事

公立中学校で保健体育を教えて17年以上。
生徒の「保健の授業、つまらない」を「楽しい」に変えたくて、「ほけっと」を作りました。
学習指導要領に基づいた、明日からそのまま使える指導案・教材を発信しています。