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がんとその予防の指導案|中学2年保健、がん教育の進め方

この記事のポイント

  • がんの授業は、教室に当事者がいる前提で組み立てる必要がある
  • 入口は「2人に1人」の数字ではなく、「知ってることを出す」から始める
  • 板書は3列。がんとは何か・防げること・見つける仕組み

📋配慮が必要だと分かっていても、どう配慮するかが書いていない

がん教育は、文部科学省が推進している分野だ。資料も手引きも出ている。
そして、そのどれにも「配慮が必要な生徒がいる」と書いてある。

家族ががんで治療中の生徒。亡くした生徒。
本人が経験している場合もある。

問題は、配慮すべきだとは書いてあるのに、その場でどう配慮するかが書いていないことだった。
僕が最初にこの単元を扱ったとき、いちばん困ったのがそこだ。

結局そのときは、統計から入った。
「日本人の2人に1人ががんになる」という数字を出して、リスク要因を並べた。
授業としては流れたけど、教室のどこかで誰かがしんどい思いをしていた可能性を、あとになって考えた。

いまは入口を変えている。数字から入らない。
生徒が持っている知識を出すところから始める。

50分をこう配る

  • 導入 5分 ── 発問1つ。挙手ではなく、手元に書かせる
  • 展開① 15分 ── がんとは何か、体の中で何が起きているかを押さえる
  • 展開② 20分 ── 「防げること」と「早く見つけること」を班で整理する
  • まとめ 10分 ── 自分や家族に向けて、1文書かせる

導入で手元に書かせるのは、配慮の意味もある。挙手だと、当事者の生徒が答えにくい。紙に書く形にすると、出すか出さないかを本人が選べる。

導入で使える発問3つ

そのまま言える形で書く。どれか1つでいい。

  1. 「がんについて、知ってることを何でもいいから書き出してみて」
    一番使いやすい。正誤を問わないので、当事者の生徒も、ほとんど知らない生徒も、同じ土俵で始められる。
    誤解が出てきたら展開①で扱える。
  2. 「がんって、防げる病気だと思う? 防げない病気だと思う?」
    どちらの答えもあり得る発問。
    展開②の「防げること/見つけること」の2本立てにそのままつながる。
  3. 「健康診断って、なんのためにあるんだろう」
    早期発見の話から入る型。
    がんそのものを正面に置かないので、教室の状況によってはこちらのほうが入りやすい。

板書は3列で組む

黒板を縦に3つに割る。

  • 左:がんとは何か ── 細胞に起きること
  • 中央:防げること ── 生活習慣・環境
  • 右:見つける仕組み ── 検診・早期発見

左から右へ、体の話から、自分と家族にできる話へ動いていく。

大事なのは、中央で止めないことだ。
生活習慣の話だけで終わると、「気をつけていれば防げる」という誤解になる。
防ぎきれないものもあるからこそ、右の「見つける仕組み」まで行く。
ここまで来ると、家族に検診を勧めるという行動につながる。

生活習慣の話は、生活習慣病の単元と重なる部分がある。あわせて読んでもらえるとうれしい。
→ 生活習慣病の予防|中学2年保健の指導案と発問例

当事者の生徒がいるときの2手目

授業の前に、担任や養護教諭に確認しておく方法もある。「この単元をやるので、配慮が必要な生徒はいますか」。事前に一言聞いておくだけで、授業中の判断がまったく変わる。

授業中に空気が止まったら、話を個人から仕組みに戻す。「細胞の話に戻すね」。
原因探しの方向に流れかけたときも同じで、誰のせいかではなく、体の中で何が起きているかに引き戻す。

それでも、しんどそうな生徒が見えたときは無理に参加させない。
書く活動にしておくと、手を止めていても目立たない。これも配慮の一つだと思ってる。

がんの話をすると、喫煙の単元が後ろから効いてくる。
先にやっているなら「あのとき出てきた話だね」で繋げられる。
→ 喫煙と健康の指導案|中学2年保健の導入発問と50分の流れ

評価は「自分の外に向いているか」で見る

まとめの1文を回収して、自分や家族に向けた具体が入っているかを見る。

  • 「がんは怖い病気だと分かった」→ 感想で止まっている
  • 「生活習慣で防げるものもあると知った」→ 中央まで届いている
  • 「お母さんに検診に行ったか聞いてみたい」→ 右列まで届いている

3つ目が出たら、この単元は成立している。

<次の授業でこう動く>
■準備するもの:なし。ただし事前に担任へ一言確認しておく
■時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■最初のひと言:「がんについて、知ってることを何でもいいから書き出してみて」
■うまくいかないとき:空気が止まったら「細胞の話に戻すね」と仕組みに引き戻す

🔖発問に迷った日は

導入の一言が浮かばない日は、正直ある。僕もある。
→ トワせんせいの発問メーカー

無料で落とせるものも置いてある。
「困った質問 切り返しフレーズ集」は、答えに困る質問が出やすい単元で出番がある。
→ ダウンロード無料の教材

中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧

トワせんせい
ABOUT

トワせんせい

公立中学校保健体育教員/生徒指導主事

公立中学校で保健体育を教えて17年以上。
生徒の「保健の授業、つまらない」を「楽しい」に変えたくて、「ほけっと」を作りました。
学習指導要領に基づいた、明日からそのまま使える指導案・教材を発信しています。