この記事のポイント
- グラフを見せて終わると、個人差の話が抜け落ちる
- 入口は数値ではなく「自分がいつ伸びたか」。記憶から入る
- からかいが出たときの2手目を、始める前に用意しておく
📊グラフを見せて、教室が静かになった
体の発育・発達の時間で、僕は身長の伸びのグラフから入ったことがある。
年齢と身長の曲線を黒板に書いて、小学校高学年から中学生のあたりで急に上がることを説明した。
きれいなグラフだった。
でも、教室が静かだった。
この単元は、全員が自分の体を見られている気がする時間だ。
伸びた生徒も、まだの生徒も、グラフの前で自分の位置を探している。
そこに数値だけを置くと、黙る。
いま思えば、先に「差があるのは普通だ」を置いておくべきだった。
順番が逆だと、グラフが比べる道具になってしまう。
50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。自分の記憶から出させる
- 展開① 15分 ── 発育急進期と、器官によって伸びる時期が違うことを押さえる
- 展開② 20分 ── 班で、個人差があるとどんないいことがあるかを出す
- まとめ 10分 ── 自分の体の変化について1文書かせる
展開②の問いを「なぜ差があるか」にしない。
原因を聞くと、生徒は自分の遅い早いを気にする。
「差があるとどんないいことがあるか」にすると、話が自分の比較から離れる。
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、
身体には多くの器官が発育し、それに伴って機能が発達する時期があること、発育・発達の時期やその程度には個人差があることを理解できるようにすることが位置づけられている。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。どれか1つでいい。
- 「生まれてから今まで、一番ぐっと伸びたのっていつだと思う?」
一番使いやすい。記憶から入るので、数値の比較になりにくい。
親に聞いた話が出てくると、教室の空気がやわらかくなる。 - 「小学校1年生のときの自分と、いまの自分。体で一番変わったのはどこ?」
身長以外が出てくる発問。声、手の大きさ、走る速さ。
器官によって伸びる時期が違う、という話につなげやすい。 - 「赤ちゃんのとき、一番先に育つのはどこだと思う?」
器官の話に直接入る型。
脳や神経が早い、という流れを作りやすい。
板書は時間の流れで1本にする
黒板を横に使って、左から右へ時間を引く。
- 左:生まれたころ ── 脳や神経のほうが先に育つ
- 中央:小学校高学年〜中学 ── 身長・体重が急に伸びる時期がある
- 右:その先 ── 伸びる時期も、伸び方も、人によって違う
右端を必ず書く。
ここが抜けると、中央のグラフだけが残って比べる話になる。
「人によって違う」を黒板に残したまま授業を終えるのが、この単元では大事になる。
からかいが出たときの2手目
この単元では、体の大きさや成長の早さをめぐって、からかいが出ることがある。
笑いの形で来るので、見逃しやすい。
その場で止める。ただし、叱って空気を固めない方法もある。
「いまの話、誰かの体のことだったよね。この時間はそれをやらない」
短く言って、すぐ内容に戻す。
説教を長くすると、話題そのものが触れられなくなる。
そのうえで、話を人から器官に戻す。
「じゃあ、身長より先に育つものって何だったっけ」
具体の話に戻すと、教室の注意が人から離れる。
展開に入る前に、先に枠を言っておく方法もある。
「今日は、誰が大きいとか小さいとかを比べる時間じゃない。体がどういう順番で育つのかを知る時間ね」
先に言っておくほうが、起きてから止めるより軽く済む。
評価は「個人差が自分の言葉で入っているか」で見る
まとめの1文を回収して、個人差の話が入っているかだけ見る。
- 「体は成長すると分かりました」→ 授業前と同じ
- 「伸びる時期は人によって違うと分かった」→ 言葉は入っているが、借り物のまま
- 「まだあまり伸びてないけど、これから伸びる時期が来ると分かって気が楽になった」→ 自分の言葉になっている
3つ目のような文が出ても、名前を出して読み上げるのは避ける方法もある。
この単元は、書いた本人が特定されると意味が変わる。
<中1の最初に、ここだけ>
🔹準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
🔹時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
🔹最初のひと言:「生まれてから今まで、一番ぐっと伸びたのっていつだと思う?」
🔹うまくいかないとき:からかいが出たら「この時間はそれをやらない」と短く止めて内容に戻す
📚この次の時間に
体の外側の発育を押さえたら、次は内側の器官の話に進む。
→ 呼吸器・循環器の発育・発達の指導案|中学1年保健の授業の流れ
中学1年の最初の単元は、こちらにまとめてある。
→ 健康の成り立ちの指導案|中学1年保健、主体と環境の教え方
🔖1時間目の入口に迷ったら
単元を選ぶだけで、そのまま言える発問が出てくるやつを置いてる。
全単元ぶんある。
→ トワせんせいの発問メーカー
無料でダウンロードできるものもある。
「導入5分テンプレート」20選と、答えにくい質問への「切り返しフレーズ集」。
→ ダウンロード教材
中学1年のほかの単元はこちら。

