この記事のポイント
- 検索して出てくる指導案の多くは小学5年。中学には時間が5分足りない
- 入口は「学校でけがをした場所」。自分の生活の中から始める
- 板書は2列。何が重なったか・どちらを変えられるか
🏫小学校の焼き直しになっていた
けがの原因を扱う時間で、僕は「どんなけがをしたことがある?」から入った。
手は挙がった。
擦り傷、突き指、捻挫。
黒板がけがの名前で埋まった。
でもそのあとが続かなかった。
生徒は小学5年で同じことをやっている。
同じ問いを出せば、同じ答えが返ってくる。
「またこれか」という顔をされた。
中学校でこの単元をやる意味は、けがの種類を並べることではない。
なぜそれが起きたのかを、人と環境に分けて見られるようになることだ。
そこに進めなければ、小学校の焼き直しで終わる。
ちなみに「けがの防止」で検索すると、出てくる指導案はほとんどが小学5年のものだ。
45分で組まれているので、中学校の50分にそのまま持ち込むと5分足りない。
中学校の教科書や指導要領では「傷害の防止」という括りになっている。
50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。場所を思い出させる
- 展開① 15分 ── 1つのけがを取り上げて、要因を分けて並べる
- 展開② 20分 ── 班で学校内の場所を1つ選び、要因を洗い出す
- まとめ 10分 ── 自分が気をつける場面を1つ書かせる
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、
交通事故や自然災害などによる傷害は、人的要因や環境要因などがかかわって発生することを理解できるようにする、と示されている。
「かかわって」が中心になる。
片方だけでは起きない、という見方を作る時間になる。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。
どれか1つでいい。
- 「学校の中で、けがをしたことがある場所ってどこ?」
一番使いやすい。
けがの種類ではなく場所を聞くのがポイントで、答えが環境の話に寄る。 - 「同じ場所で転んでも、けがをする人としない人がいるのはなんでだろう」
人的要因に直接入れる。
1つの場面で2つの要因を見る練習になる。 - 「廊下を走るなって、なんで何回も言われると思う?」
生徒が聞き飽きている指示を、要因の話に変換する型。
やや挑発的なので、空気を見てから使う方法もある。
板書は2列で組む
3列に分けたくなるが、この時間は2列のほうが動く。
- 左:人のほう ── 急いでいた/よそ見/疲れていた/ふざけていた
- 右:場所のほう ── 濡れていた/暗い/狭い/物が出ていた
1つのけがを真ん中の上に書いて、そこから左右に線を引く。
どちらか片方だけでは起きていないことが、形で見える。
最後に右端へもう1本足す。
「どっちなら変えられる?」ここで防止の話につながる。
要因が出てこないときの2手目
「急いでいた」「濡れていた」で止まって、そこから出てこないことがある。
そういうときは、条件を1つ変えて聞き直す方法もある。
「じゃあ、そのとき雨だったら?」
「朝じゃなくて放課後だったら?」
条件を動かすと、見えていなかった要因が出てくる。
それでも止まったら、場所を具体にする。
「体育館のステージの下」「昇降口の段差」のように、全員が知っている場所に限定すると、急に手が挙がる。
評価は「2つを結びつけているか」で見る
まとめの1文を回収して、人と場所の両方が入っているかを見る。
- 「廊下を走らないようにする」→ 人のほうだけ。小学校の答え
- 「雨の日は昇降口が濡れているから気をつける」→ 場所のほうが入っている
- 「雨の日の昇降口は急いでいると危ないから、早めに出る」→ 両方が結びついている
3つ目が出ていれば、この単元の見方は身についている。
<明日、黒板の前でやること>
■ 準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
■ 時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■ 最初のひと言:「学校の中で、けがをしたことがある場所ってどこ?」
■ うまくいかないとき:要因が止まったら「じゃあ雨だったら?」と条件を1つ変える
🔖この次の時間に
けがの要因が分けられるようになったら、次は交通事故で同じ見方を使う。
→ 交通事故の実態と原因の指導案|中学2年保健の発問例
実際にけがが起きたときの手当は、こちらにまとめてある。
→ 応急手当の意義と基本の指導案|中学2年保健の授業展開
発問がどうしても浮かばない日は、ここで拾ってもらえたら。
→ トワせんせいの発問メーカー
あと、無料で取れる教材も置いてある。
「困った質問 切り返しフレーズ集」は、授業中に詰まったときの保険になる。
→ ダウンロード無料の教材
中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧
