この記事のポイント
- 1コマ分の設計図がどこにもない単元。だから自力で組む形を置いておく
- 入口は「自分が一番あぶない瞬間」。グラフから入らない
- 板書は3列。人・環境・車両。自転車の話だけで終わらせない
グラフを見せて、空気が沈んだ
交通事故の実態を扱う時間で、僕は死傷者数のグラフから入った。
年齢別の棒グラフを見せて、中学生の年代が高いところを指した。
「これ、みんなの年代だよ」と言った。
生徒は黙って見ていた。嫌な黙り方だった。
数字が大きすぎて、自分の話に戻ってこない。
そのあと要因の話に進もうとしたけれど、一度沈んだ空気は戻らなかった。
考えさせたかったのに、聞かせるだけの50分になった。
いまは逆から入る。
自分の一番あぶない瞬間を先に出させて、そのあとで数字を見せる。
順番を変えただけで、同じグラフが自分の話になる。
ちなみにこの単元は、検索しても1コマ分の指導案がほとんど出てこない。
上位に出てくるものは単元計画の第1時や第2時に短く置かれていて、本時として設計されていない。
だから自分で組む必要がある。
50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。手元に書かせる
- 展開① 15分 ── 出てきた場面を3つの要因に分ける
- 展開② 20分 ── 班で1つの場面を選び、要因を足していく
- まとめ 10分 ── 自分の通学路で一番あぶない場所を1つ書かせる
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、
交通事故や自然災害などによる傷害は、人的要因や環境要因などがかかわって発生することを理解できるようにする、と示されている。
実態の数字そのものより、要因に分ける見方のほうが中心になる。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。
どれか1つでいい。
- 「通学路で、ここはあぶないなと思う場所ある?」
一番使いやすい。
全員が毎日通っている場所なので、必ず出てくる。
場所から入ると要因の話に進みやすい。 - 「自転車に乗っていて、ひやっとしたことある?」
体験から入る型。
ただし自転車の話だけで50分が終わりやすいので、途中で歩行者や自動車の側に広げる手を用意しておく。 - 「事故って、どっちかが100%悪いことってあると思う?」
加害者側の視点に入る発問。
重くなりすぎない範囲で扱えるなら、要因を複数で見る流れが作りやすい。
板書は3列で組む
黒板を縦に3つに割る。
- 左:人のほう ── 急いでいた/スマホ/よそ見/慣れた道
- 中央:環境のほう ── 見通しが悪い/暗い/雨/路面
- 右:車両のほう ── ブレーキ/ライト/荷物/整備
右の列が空きやすい。
自転車の整備や荷物の話は生徒から出にくいので、教師から1つ投げて埋める方法もある。
3列が埋まったら、1つの場面を選んで
「この事故には、どの列がいくつ関係してた?」
と聞く。
1つの事故に複数の列がかかわっていることが見えれば、この時間の目的は達している。
自転車の話だけで終わりそうなときの2手目
ほうっておくと、50分まるごと自転車の危険の話になる。
これは実際によく起きる。
そういうときは、立場を入れ替える。
「じゃあ、その場面を車に乗っている人から見たらどう見える?」
同じ場面を別の立場から見ると、環境の列と車両の列が動き出す。
場面そのものが出てこないときは、時間を限定する。
「朝の7時50分の交差点」のように時刻を足すと、急に具体が出てくる。
評価は「列をまたいでいるか」で見る
まとめの1文を回収して、要因が1つで止まっていないかを見る。
- 「スマホを見ながら乗らない」→ 人の列だけ
- 「あの交差点は見通しが悪いから気をつける」→ 環境の列が入っている
- 「あの交差点は見通しが悪いうえに、朝は急いでいるから危ない」→ 2つの列が重なっている
3つ目のように、2つ以上が重なった文が出ていれば、次の時間の防止の話に進める。
<1コマで終わらせる段取り>
■準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
■時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■最初のひと言:「通学路で、ここはあぶないなと思う場所ある?」
■うまくいかないとき:自転車の話に偏ったら「車から見たらどう見える?」と立場を変える
前の時間と次の時間
人と環境に分ける見方は、けがの単元で先にやっておくと入りやすい。
→ けがの原因と防止の指導案|中学2年保健の授業の流れ
要因が出そろったら、次は防ぐ側に回る。
→ 交通事故の防止の指導案|中学2年保健、50分の進め方
問いの形に迷ったら、単元を選ぶだけで出てくるやつもある。
→ トワせんせいの発問メーカー
無料の教材も一覧にしてある。
「導入5分テンプレート」20選と、中学1年「健康の成り立ち」のスライド・板書ノート・クイズのセット。
→ ダウンロード無料の教材
中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧
