この記事のポイント
- 「検診に行きましょう」で終わると、中学生には関係のない50分になる
- 入口は検診ではなく「気づけるかどうか」。体の中の見えなさから入る
- 板書は3列。気づける/気づけない/どうやって見つけるか
💭「検診に行きましょう」で終わった50分
早期発見の時間で、僕は検診の話から入ったことがある。
がん検診、特定健診、人間ドック。
種類を説明して、受けることが大事だと話した。
まとめの振り返りには「大人になったら検診に行きたいです」と並んだ。
いい授業をやった気になっていた。
でも、よく考えたらおかしい。
中学生は毎年、学校で健康診断を受けている。
受ける側としては、すでに経験者なのだ。
それなのに「大人になったら」と書かせていた。
自分の話として扱われていなかった。
近いのは検診の種類ではなく、「体の中で何か起きていても、自分では気づけない」という事実のほうだった。
そこから入ると、健康診断が急に自分の話になる。
■ 50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。気づけるかどうかを考えさせる
- 展開① 15分 ── 早期に見つかると何が変わるか。進行してからとの違いを押さえる
- 展開② 20分 ── 班で、どうやったら見つけられるかを出す
- まとめ 10分 ── 自分の健康診断を思い出して1文書かせる
展開②で「検診を受ける」以外も出させる。
体調の変化に気づく、家族と話す、記録しておく。
選択肢が複数出ると、「大人になったら」で終わらなくなる。
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、
生活習慣病などの予防に関して、早期発見と適切な治療が健康の保持に有効であることを理解できるようにすることが位置づけられている。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。どれか1つでいい。
- 「体の中で何か起きてたら、自分で気づけると思う?」
一番使いやすい。病名も検診も出さずに入れる。
Yes/Noで手を挙げさせてから理由を聞くと、全員が参加できる。 - 「健康診断の結果って、どこ見てる?」
全員が受けているので、経験から入れる。
見ていない生徒が多いことが、そのまま次の問いになる。 - 「見つかるのが早いと、何が変わるんだろう」
展開①に直接つながる発問。
ただし答えが先に見えている生徒もいるので、空気を見てから使う方法もある。
板書は3列で組む
黒板を縦に3つに割る。
- 左:気づけること ── 熱/痛み/せき/けが
- 中央:気づけないこと ── 血管の中/血糖/内臓の変化
- 右:どうやって見つけるか ── 健康診断/検診/記録しておく/家族と話す
中央の列が、この授業の主役になる。
左だけで終わると「具合が悪くなったら病院に行けばいい」で止まる。
中央が埋まって初めて、右の必要性が出てくる。
左から中央へ動くとき、「見えないところで進むものがある」という言い方をすると、生徒の中で順番がつながる。
家族の病気の話が出たときの2手目
この単元では、家族ががんや大きな病気をした経験を話す生徒が出ることがある。
実際、必ずいると思っていい。
止めないほうがいい。
ただし、そこから話が個人の体験に寄りすぎると、まわりの生徒が黙る。
そういうときは、話を人から仕組みに戻す方法もある。
「どうやって見つかったか、覚えてる?」
見つかった経緯に焦点を移すと、右の列の話に戻せる。
展開に入る前に、一言置いておく方法もある。
「今日は、誰かの病気の話をする時間じゃない。早く見つかると何が変わるかを考える時間ね」
被災や病気の経験がある生徒への配慮は、学年の実態を見て判断する。
評価は「自分の経験が入っているか」で見る
まとめの1文を回収して、自分の健康診断の経験が入っているかだけ見る。
- 「早期発見は大事だと思いました」→ 授業前と同じ
- 「大人になったら検診に行きたい」→ 自分ごとになっていない
- 「毎年の健康診断の結果、今年はちゃんと見てみようと思った」→ 自分の行動が入っている
3つ目のような文が出たら、健康診断の時期に合わせて読み上げる方法もある。
<検診の話で終わらせないなら>
🔹準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
🔹時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
🔹最初のひと言:「体の中で何か起きてたら、自分で気づけると思う?」
🔹うまくいかないとき:家族の病気の話が出たら「どうやって見つかったか覚えてる?」と戻す
この単元の前後に
生活習慣病そのものの時間を前に置くと、流れがつながる。
がんの予防を扱う時間とも、内容が重なる部分がある。
→ がんとその予防の指導案|中学2年保健、がん教育の進め方
問いのストックが切れたら
単元を選ぶだけで、そのまま言える発問が出てくるやつを置いてる。
全単元ぶんある。
無料でダウンロードできるものもある。
「導入5分テンプレート」20選と、答えにくい質問への「切り返しフレーズ集」。
→ ダウンロード教材
中学2年のほかの単元はこちら。
