この記事のポイント
- 「そんな人いない」で止まる時間になりやすいのが、この単元
- 入口は「断れなかった経験」。薬物の話から入らない
- 板書は3列。心の状態・人間関係・まわりの環境
💭「そんな人いない」で5分で終わった
薬物乱用防止教室の次の時間に、この単元をやったことがある。
僕は「どうして手を出してしまう人がいるんだろう」と聞いた。
いい問いだと思っていた。
返ってきたのは沈黙だった。
しばらくして一人が「そんな人、まわりにいないし」と言って、そこで空気が決まった。
残りは僕が心理的要因と社会的要因を説明して終わった。
あとで考えると、問いの距離が遠すぎた。
薬物に手を出す人の気持ちを想像しろ、というのは中学生には遠い。
近いのは「断れなかった経験」のほうだ。それなら全員が持っている。
50分をこう配る
- 導入 5分 ── 発問1つ。挙手ではなく、手元に一言書かせる
- 展開① 15分 ── きっかけを3つの方向に整理する
- 展開② 20分 ── 断る場面を班で言葉にする
- まとめ 10分 ── 自分が一番あぶないのはどの場面かを書かせる
学習指導要領(保健体育編・保健分野)では、
喫煙・飲酒・薬物乱用の行為には、個人の心理状態や人間関係、社会環境が影響することから、それぞれの要因に適切に対処する必要があることを理解できるようにする、と示されている。
3つの要因がそのまま板書の3列になる。
導入で使える発問3つ
そのまま言える形で書く。
どれか1つでいい。
- 「断りたかったのに、断れなかったこと、ある?」
一番使いやすい。たばこや薬物の話を一度も出さずに入れる。
全員が持っている経験なので、沈黙が起きにくい。 - 「すすめてくる人って、どんな人だと思う?」
人間関係の列に直接つながる。
「知らない人」ではなく「知っている人」だと気づく流れを作れる。 - 「中学生に売る人は、なんで中学生に売るんだろう」
社会環境の列に入る発問。
ただし学年の実態によっては重くなるので、扱える空気かを見てから使う方法もある。
板書は3列で組む
黒板を縦に3つに割る。
指導要領の3つの要因をそのまま使う。
- 左:心の状態 ── 不安/さびしさ/やけになる/好奇心
- 中央:人の関係 ── 先輩/友だち/断ると気まずい相手
- 右:まわりの環境 ── 手に入りやすさ/広告/SNS
左から右へ、自分の内側から外側へ動いていく。
3列が埋まった時点で、この授業の知識の部分は終わっている。
残りの20分は、この3つに対してどう身を守るかに使う。
「そんな人いない」が出たときの2手目
これは必ず出る。否定しないほうがいい。
実際、本人のまわりにはいないかもしれない。
そういうときは、対象を薬物から断る場面そのものに移す。
「じゃあ、たばこじゃなくてもいい。断りにくいお願いをされたこと、ない?」
断る練習そのものは、飲酒の単元のコラムに書いた型が使える。
→ 飲酒を勧められたときの断り方、3つのロールプレイ
逆に、家族に吸っている人がいる生徒から具体的な話が出て止まらなくなることもある。
そのときは展開に入る前に言っておく。
「今日は誰かを責める時間じゃない。なんで始まるのか、その仕組みを知る時間ね」
評価は「対処が自分の言葉か」で見る
まとめの1文を回収して、3つの要因のどれに触れているかを見る。
- 「薬物は危険だと分かった」→ 前の時間の復習で止まっている
- 「さそわれたら断る」→ 対処は出ているが、場面がない
- 「部活の先輩に言われたら断りにくいから、先に友だちと決めておく」→ 人間関係の列まで届いている
3つ目のように、場面と相手が入っている文が出ていれば、この単元は成立している。
<きっかけの話を、こう始める>
■準備するもの:なし。教科書と黒板だけでいい
■時間:導入5分・展開15分+20分・まとめ10分
■最初のひと言:「断りたかったのに、断れなかったこと、ある?」
■うまくいかないとき:「そんな人いない」が出たら、断る場面そのものに話を移す
🔖この3単元のあとに置く時間
喫煙・飲酒・薬物乱用をそれぞれやったあと、最後にここで束ねる形になる。
先にやった3つの指導案はこちら。
→ 喫煙と健康の指導案|中学2年保健の導入発問と50分の流れ
→ 飲酒と健康の指導案|中学2年保健の発問例と板書の組み立て
→ 薬物乱用と健康の指導案|中学2年保健、薬物乱用防止の授業
最初のひと言が決まらないときは、こっちで探すのも手だ。
→ トワせんせいの発問メーカー
無料で落とせるものもまとめてある。
導入の一言を集めた「導入5分テンプレート」20選と、答えにくい質問への「切り返しフレーズ集」。
→ ダウンロード無料の教材
中学2年のほかの単元はこちら。
→ 中学2年 保健の指導案・教材一覧


